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  • フレットが飛び出る?指板痩せ現象
  • 2017/06/10
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    今年も夏場モードに入り楽器の状態が変化し調整に来られる方も多くなる季節です。

    結構聞かれるお客様が多かった内容でしたので今回書く事にしました「指板痩せ」のお話です。よく「いつの間にかフレットが飛び出ている・・・。」といった状態ですね。正確にはフレットが飛び出たのではなく指板が乾燥等による収縮で縮んでしまった状態でそうなります。

    特に冬場の乾燥季節は木材の水分が飛んで縮小傾向になり、こうした変化が起き易い季節でもあります。そして季節が変わり夏場になると急に湿気も増えてくる為、乾いた木材は一気にその湿気から水分を吸い、膨らんで元に戻る等の変化も起こったりします。

    指板痩せは時期的に冬場に起こる現象ですが、フレットが引っ掛かる理由から使わずにいてタイミング良い時にリペアに出そうと思ったら時間が経ってしまい、いつの間にか直っていた等のお客様も居て質問されたりする事も度々ある内容でしたのでこのタイミングでの投稿でした。



    DSC_1109-1024x576夏場の湿気が出てくる時期になれば元に戻る可能性があるとは言え、自然に直るまで我慢して毎日弾くのは大きなストレスになる事は間違い無いでしょう。

    実際に起きた場合で直すのは削るしかありません。塗装がされていないローズウッド指板やエボニー指板がなり易い現象と思っていましたが、リペアを数多くやった経験上、塗装がされたメイプル指板でも充分起きる現象と思います。

    乾燥による縮小が一番の理由だと考えておりますが、住んでいる環境が与える影響も大きいでしょう。一般的な生活をしていて仕事で外出する際はエアコンを切っているでしょうから人が居ない環境で夏場の部屋は暑い・冬場の部屋は寒い等の部屋状態でしょうし、夏場はまだ多湿なので冷房で丁度良い環境になるのでしょうが冬場は暖房で更に乾燥するので指板痩せになるケースが多く、逆の膨らみ過ぎるケースはあまりリペアで見ない事かと思います。

    大きな温度変化を与えない・大きな湿度の変化を与えないといった一定を保った環境が保管に良いとありますがとても一般家庭でその環境を維持するのは難しい事かと思います。自分が思う事は人と同じで「人が住み易い環境は楽器にも優しい環境。」と思っています。



    温度・湿度メーターも良い物は高価ですが100円ショップ等でも売っていますので目安になる程度だとしてもあると便利です。購入し部屋に置いてみて、自分の部屋環境が「乾燥部屋」か「湿気部屋」かは知っておくと便利かもしれません。乾燥傾向であれば加湿器を付けておく・多湿傾向であれば乾燥機を付けておく等をするだけでも楽器に優しい環境に変わる事でしょう。DSC_3810湿度は40~50%が丁度良いと言われています。この様な形で値を見て適切な状態になる様に環境を調整すると良いでしょう。温度については人それぞれの感覚かと思いますが厚くもなく寒くもなく、具体的には20℃~25℃程度を一定で保てたら良いかと思います。結果的に楽器の良い状態の維持には手間隙を惜しまないという事でしょう。

    中には製作されたばかりの安定していない材だから等の理由で変化し易い材状態だったりするギター・ベースもあります。ギタークラフトの製作では木材はその気候にあった環境で数年放置した物を使うのが好ましい為、海外等から輸入して間もない材で作ると狂いが出やすい状態で完成してしまうと言ってもいいでしょう。シーズニングがちゃんとできている木材で作られているか?ですね。

    どうしても日本は木材的に都合が悪い環境の様で、家具等のジャンルでも同じ様に日本に輸入されると状態に狂いが出る等のトラブルも多い様です。狂いが出易い環境に住んでいますので、狂いが出てもしょうがない環境に居るという意識はあると良いかもしれません。シーズニング等の問題はあるとはいえ木材で作られている以上は狂いを避けられませんので、別の発想としては木材以外で作る他無い事かもしれませんね。


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