- 弦は緩める?緩めない?
- 2015/08/06
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質問される内容に多く寄せられるのが「弦は弾き終わったら緩めた方が良い?」との内容です。
昔から「緩めた方が良い」と言う人も居れば「緩めない方が良い」と言う人まで、その答えは何?と疑問に思っている人も多いと思います。
そして未だにハッキリと「これが正しい!」と言いきれる人も現れません。とても不思議に思います。
そうした内容をYoutubeにてお話しております。ブログを読みつつYoutube動画のお話を聞きながら読まれると非常に理解が深まる内容と思いますので最後までご視聴を宜しくお願いします。
ネックは構造上、どうしても強度が安定しておりません。
ネット情報も昔からいい加減な情報が未だに信じられて広まっており間違った知識が多く蔓延しております。
「ネックは弦を張った事を想定してバランスが取れる様に製造されている。」等、本当にギタークラフトマンが言った言葉なのでしょうか…。
物理的に問題になる箇所、それに伴う対策等はYoutube動画にてお話しております。
弦の力はとても強く、とてつもない力が薄いネックに掛かります。
木材は端から端まで「同じ強度ではありません」。
そんな素材に強い弦張力を掛けたら、しかも弦は全て太さが違い張力が違う、これが綺麗に反ると考える事がおかしい事と分かるでしょう。
トラスロッドが限界に近い状態になっている事が多くあるパターンです。余裕が無い状態なので緩めた方が良いパターン・ネック剛性が高く弦の張力で全く反りが変わらないのであれば張りっぱなしでも良いと考えるパターンとネック状態により考え方が変わっていきます。
音質に大事な部分はネックです。
ネックがダメになり、新しいネックに交換すると音質が大きく変わります。
そんな大事なネックをマメな手間暇を掛けて長い間使っていきましょう。
ギター=ネックが本体です。
だから大事に反らない様に使っていかないといけません。
これは人によって様々な意見があり、答えがハッキリと出ておらず「どっちが正しいんだ!?」と、分からない部分ですよね…。
緩めるって人は「弦の張力が常にネックに与えられると反ってしまうから」等。
緩めないって人は「ネックは弦を張った状態で釣り合いが取れてるから」等。
これに関しては「正解がない」事なんです。理由は「ギター本体の状態によりどっちも正しくなる」事です。
トラスロッドの余り量が100%近くなら逆反りすると困るので張りっぱなしで良いし、しかしそんな状態が良い楽器は殆ど無いのが現状で、殆どの楽器は順反りしてトラスロッドの余り量が少ないので「緩めないとダメ」に該当する物が多い。
自分の根拠としてはこれだけ数多くのリペアを行い、お客様と対面でお話をしながら引き受けている事もありお客様が今までどの様に使い続けてこの様な状態になったのか?と多くのデータがあった上でのお話になります。
自分は緩める派です。緩めないとダメだと思います。
これはリペアを仕事にしていての経験を元に思っている事なのですが、ネックの順反りが大きい・ハイ起きしてる・ネジれてる楽器を持ち込む方は聞いてみると殆どの方が弦を弾き終わった後は緩めていないとの事でした。
張りっぱなしで常に張力が掛かってる事によりネックが順反るケースが多いと判断しています。
そもそもネックは強い張力を掛ける構造なのに対して、特別な加工をしている訳ではありません。
ネック内に補強材を入れているメーカーも全体的には少数です。張力に負けて反るのはハッキリ言ったら「当たり前」の事です。
弦張力、この内容を書く際に具体的な弦のゲージの正確な弦テンションって何kg?と調べるキッカケができました。
調べるとダダリオがバランステンション弦について公表してました。
そのままスクリーンショットですが…
ただこれはバランステンション弦のデータなので、通常の弦やメーカー毎にゲージが異なるのでテンション(kg)が異なります。参考程度に。通常の弦は各弦でkgにバラツキが出る様ですが、普通の弦の正確な表が見つけられず…
通常の10-46は45kg前後、ベースの表はバランステンション弦50-120でミディアムゲージとなっていて、太さが違うので通常の45-105とどれ程変わるのかは不明です…。とりあえず80~90kgといった所でしょうか。これだけの力が細いネックにずっと掛かっていると考えたら…反るのも当然には思います。
ですが実際に弦を張りっぱなしで大丈夫な物も中には存在します。なので緩めなくて良いって言う人はそのギターを所持してると思います。
実際に常連のお客様が定期的にメインギターを持ち込んでくれて、弦は張りっぱなしだそうですが、その度に調整をしてチェックしますが反りの変化が全くありません。弦を張った状態で放置していて、順反っていくギターは緩めた方が良いでしょう。多くの楽器がこのパターンです。
張ったままで反ったり状態が変化しないならそのままでも良いかと思います。木材の強度が高いのでしょう。
補強材が入ったネックは強度が高いので、張りっぱなしで大丈夫な可能性が高いと思いますが確実との保証はありません。
弦を緩めておく事でデメリットが発生しなくなる結果になるので、緩めておくのが無難です。
また順反り過ぎてトラスロッドをかなり締めてるギターベースは弦を緩めるとトラスロッドが逆反りに動く力だけがネックに残ります。この場合、ネックに逆反りに対する力が働いており、それにより逆反りに動いてくれたらと順反り分に締めていた分を緩めて取り戻せる!といった考え方もあります。
あまり例がないですが「逆反りに動くネック」も存在します。
学生時代にはたくさんのギターベースを作りましたが、1本だけ緩めて置いてると逆反りに動いていく癖があるギターがありました。今はもう所持してませんが、そのギターは弦を緩めてると逆反りしていくので弦を張りっぱなしにしていましたが、逆反る事はなくなり張りっぱなしを基本に使ってました。
自分は作るばかりであまり弾かないので、保管してるギターベースの弦は張力が無くなる程ダルダルに緩めて置いてます。上記にある1本以外はそれによりネック状態が変化するか?逆反るのか?と言われると変化しないので、本当にギター本体による事だと思います。
学生時代は弦を緩め忘れてしまい、数ヶ月後に気が付いたギターベースもありました。ギターは反っていませんでしたがベースは順反りしていました。張力のデータですとベースはギターより倍位の張力なので、経験に基づく考えですがベースは張力が大きいので緩める方が絶対に良いと思います。
アコギも必ず緩めて下さい。ボディのトップ材は薄いので、張りっぱなしだと持ち上がっていきます。
ギター・ベースの本体に合わせ、緩める?緩めない?は持ち主の判断になるかと思います。
毎日弾いてる様なら「今日は何か弾き難いぞ?」と分かると思います。弾き難くなった感覚だと順反りしてる可能性があります。逆に「弦高が低くなった気がする。」等は逆反りの可能性があります。
張りっぱなしで弾き難くなる感覚になるなら緩めて保管する、弦高が低くなっていく様なら弦を張っておく等、この言葉だけでは誤解を産むかもしれないので、ご自身で判断が難しい場合はリペアショップに持ち込み診断してもらう事も大事です。
お客様の中には「全てのギターが逆反る」と言う方もいて、湿度計の設置をオススメした所かなり部屋の湿度が高い事が分かった例もありました。部屋の湿度が高いせいで材が湿気を吸い膨らんで逆反りに動く様でした。
その逆もあり、エアコンをガンガンな部屋にずっと置いてるってお客様もいて、乾燥で材の水分が飛び順反りに動く様です。確か乾燥で指板が割れたギターも持ち込みされてましたね…こちらは弦を緩める緩めないとは少し違いますが。
緩める!緩めない!はその楽器に合わせて行う手段だと思います。毎日触れてチェックしてみて下さい。木材ですから環境により変化が起きます。それを見極め、そのギターをどう保管していくか判断しましょう。
間違ってもネット情報を信じてはいけません。
理由は「この人の楽器と私の楽器は違う物だから」です。
自分の楽器のトラスロッドを実際に動かしてみて余り量を確認し、現在はトラスロッドの余り量が多いのか少ないのか?で判断して下さい。
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