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  • シーズニング
  • 2015/07/07
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    木材を使ってギターベースは作られます。

    木材は売りに出される前にシーズニングという作業がされています(楽器用・家具用等で販売先の使用用途により程度が違う様です)。

    木を切り、最初は丸太状態です。水分を取る為に自然乾燥として年単位で放置されます。

    その後で荒く製材。また自然乾燥。

    ここまでに狂いや反りが大きく、使うに困難な木材は除外され、この後で強制乾燥による人工的な乾燥機により乾燥させられ、放置し、大丈夫と判断された木材が出荷されます。

     

    大雑把に書きましたが、作る前に使う木材の準備行程があるのです。これは木材の販売側でやられてるのが一般的なのでこちらからは見えない部分です。現場に行けば見る事もできますけど…。

    木材の持つ水分量に「含水率」とあるのですが、楽器に使う物は含水率を低くしないとダメ!というこだわりもあって木材業者からは楽器用に使う材の手間隙が大変なんだそうです…

    なので家具用に使う木材よりは楽器用にシーズニングした木材は手間隙が掛かる分、少し値が張る様です。

     

    実際にこの行程を得て製造側に届けられる訳ですが、自分達でも行う事があります。

    「木材は狂う・反りが出る」は普通なんです。一度作った状態が一生キープされる事はまず無いです。

    切ったり削ったりすれば狂いや反りが出たりは普通に起こる事なので、作る際は反っても修正できる様に厚みのある材を用意して作ります。これだけシーズニング行程を得た木材でも100%狂いが出ない保証は無く、製造段階に狂いや反りが出てくる物が多くなってきました。「良い木材は出尽くした。」とも言われていて、状態が変わっても修正して作れる様に配慮のある木取りをしないといけません。

     

    良い木材の基準は音が良く狂いや反りの状態変化が極力出ない物だと思っています。

    ギタークラフトに時間が掛かるのは「寝かせる」作業があり、先程に書いた「切ったり削ったりすれば狂いや反りが出る」ので、行程毎に終わったらしばらく放置し状態を安定させる作業があります。特にネックはこの作業が非常に重要になってきます。

    この製造段階で反りや狂いが出て材が安定してしまえば、完成後は狂いが少ない楽器になります。製造時も反りを削って直すにしても反る事を考えて材の大きさを残してあるので問題がありません。



    問題なのはこの反り狂いが完成後に出てしまうのが厄介です。

    それらは使ってるプレイヤーの環境が湿気・乾燥が凄い場合もあるので、製造段階が悪い訳とは単純には言えません。

    どんな環境でも反らない様に、反りに対する対策としてネック内部に補強材を仕込むメーカーも増えてきました。メーカー側としても対策をしてる所はあります。

     

    木材、常に関わってる仕事なのですが難しい物です。

    我々クラフトマンは充分にシーズニングされた材を使い、製造段階も気を使って寝かせ安定させながら作っていきます。

    それでも反ってしまう楽器は多く、4~50万のギターベースを多くリペアをしていても反ってない楽器は殆ど無いので、ある程度はしょうがない事です。もちろん調整で直せる範囲内での話ですが。

     

    木材で作られたギターベースを使っていく以上は木材の性質を理解し付き合っていくしかないです。

    調整が面倒と思う方も居るかもしれませんが、状態が変わったら調整で対応するのが適切な対処法になります。ギターベースも人と同じで大変なんです。手間隙が掛かるけど同じギターベースを長年使っていると「大事にされてるんだなぁ」と愛着を感じます。皆様にもそんなギターベースを長く使っていってほしいです。