- 初心者に陥りやすいトラブル? モーリス アコースティックギター 調整&ナット溝調整&弦高サドル調整
- 2016/10/12
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中古で買われたモーリスのアコースティックギターのナット溝調整&サドルの弦高調整でした。
今回はお客様のご協力もあり、あまりに状態が良くなった事に感激したので自分の様な初心者にギター選びの参考の記事になる様に書いてほしい!との要望ので書かせて頂きました。
躓き易い最初のギター選び
ギターを初めて弾く決心をした際、まずは本体の購入ですね。周りに詳しい人が居なければ当然情報はゼロ、今はネットがあり調べれば情報が出てきますが知らない状態からのスタートです。まず専門用語は意味が分からないので、調べた所で何を買ったら良いの~?となる事かと思います。
分からなければ実際に楽器屋に行き店員から話を聞くのもオススメです。今はかなりの低価格帯でも弾く分に問題がある固体は少なくなりました。昔は「安物=問題有り」の物が多く本当に大変な時期で、安い物はかなりの順反りネック・弾き難いので弦高を低くすると音が詰まる位の荒いフレット精度と、弾くに耐えない状態の物が多かったです。調整等の精度は初期段階では甘い物が今でも多いとは思いますが、しっかりと調整してやれば使えるレベルになる物は多いです。今はその辺りがかなり良くなってきているので、お店の人がオススメしてくるのであれば安心して購入して良いかとは思います。新品で購入すれば保障もありますから問題があっても一安心です。エレキは調整で簡単にどうにかできますが、アコギの場合は以下のお話の様にリペアが絡んでくる場合があります。
必ずしも新品を買う必要はありませんが、今回は最初の一本で中古を買われた事で選択の敷居が高かったですね。お店に置いてある中古で一番安い物を買ったとの事で購入されました。初めて買ったギターをチューニングしていざ音出し!音が鳴りました!までは良いのですが、物によっては「このギター、コードって本当に押さえられるの・・・?」と不安になる状態の物もあります。誰でも最初はコードをいきなりは押さえられませんが、明らかに無理じゃないか?と思える位の弾き難さです。疑問に思い、後日売り場に出てる数十万円のギターを握ってみると明らかに自分のギターと比べて圧倒的にコードが押さえ易い!これなら弾けるだろうと思うギターだけど・・・なぜ!?同じ形のギターなのに?とお客様は悩み、どうしても買ったギターでは弾ける気がしないとの事で修理で解決するのか?とリペアショップをネットで調べ、当店にお越しになりました。
Fコードが押さえられないのはギターのせいかも?
アコギに関してはエレキと比べ標準の弦高が高い物です。またナット高も大量生産物はあまり攻めて調整はされてないのが多い印象です(ナット溝の高さが高い)。その上アコギはボディの表板(トップ材)が薄い為、長い年月で使っていると必ずと言っても良いでしょう、表板が弦の力で持ち上がって膨らんでいき、弦高が上がっていきます。
なら頑丈に作れば良いのに!と思ってしまいますが、この表板こそアコギのサウンドを決める大事な部分なのです。強度を優先すると確かに丈夫に作れますが振動が減り鳴りが落ちます。強度重視で作ると音質面で良くありません。その兼ね合いで表板は強度と音の両立がとても難しく、多くのクラフトマンが自分の考えを表板の補強材(ブレーシング)製作に表現します。
中古のアコギを選ぶ際はネックの反り等の状態の他、アコギはこのトップの浮き具合に注意下さい。ネックが順反り・ナット溝高が高い・トップが浮いて弦高が高くなっている・・・と、アコギでこの状態が重なると弦のゲージもエレキと比べ太いのでギターを弾ける人でも厳しい位の弾き難さになってしまいます。
よく初心者が「Fコードで挫折した」と言われる言葉、まずは自分のせいだと思わないでギターの状態を疑って下さい。上記で述べた様に低価格帯でも比較的に良い物は増えましたがやはり良くない状態の物も中にはあります。エレキは調整次第でどうにかできますが、アコギはご自身で調整できる点は少ないので、弾き難い物をどうにか自分の手で良くする事はできない事でしょう。
リペアでこんなに弾き易くなる!?
前置きが長くなりましたが、自分でも触ってみると弦高が高過ぎてFコードを押さえるのがキツくてとても弾ける状態ではありませんでした。今自分が初心者だったら諦めるかもしれない弾き難さです。順反り過ぎたネックを調整、高いナットの溝高を削って調整、トップ浮きでそれでもまだ弦高が高いのでサドルを削って弦高を下げるリペアを行いました。
順反り状態は単純に弾き難いです。弦高が全体で上がるので、アコギの場合だと弦が太いので張力も強く、初期状態で弦高が高めだと致命的な弾き難さになります。ナット高が高いという事は主にローポジションの弦高が高い為、アコギのメインであるコード弾きに弾き難い原因となります。力を入れないと押さえられない状態・弦とフレットの距離が増えるので押さえた時にチョーキング状態になり音程が上がる等のトラブルが起きます。弦高についてはメーカー出荷時の設定がある為、何とも言えませんが各リペアをして最終的に弦高の理由で弾き難い場合はサドルを削って弦高を下げる必要があります。
状態が悪いギターを無理に弾き続ける事で起こるトラブルはむしろ人間側に起きます。それは「弾き難いギターを弾く手癖が付いてしまう事」です。主に強く押さえて弾く癖が取れなくなっている人が多いでしょう。押さえたら音程が上がる人・フレットに余計な磨耗を与え減りが早い人・手に余計な力が入ってるから早いフレーズが弾けない人(指が上手く動かせない人)がそうですね。
リペアは無事に完了しました。今まで弾き難いけど何とか頑張って弾いていて、それでもFコードを1音1音全て鳴らす事ができなかったと言われてたお客様がリペア後にギターを渡した1発目でFコード全ての音を出した事にお客様自身も驚き絶賛されました。
こうして思う事は、初心者の方は「弾けない→挫折」をする前に一度ギターに問題があるのでは?と疑ってみて下さい。自分のせいだと思わないで下さい。みんな弾けてるのになんで自分は弾けないのか?と疑って下さい。ギターを弾くのは練習すれば誰でも弾ける楽器ですので、管楽器等と比べたら音を出す事は楽勝の部類です。なので自分がおかしい?と思わずにまずは相談し、弾き難い原因を見つけリペアして弾き易くしましょう。
完成後の写真、撮り忘れてましたね・・・。
ありがとうございました♪
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