- 【超マニアック】ギターの音を良くする新たな要素? ”固有振動数”
- 2020/09/05
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「木材で音が変わる」のは事実ですが、それを言うこちら側に具体的な説明ができない事から反対意見が出てきます。
木材で音が変わると発言すれば「PU等の電気系でしか音は決まらない」や「どのギター弾いても音は一緒」といった発言が出てきます。
確かに音は変わるんだけど、意外と具体的に何が理由で音が変わるのかクラフトマンもよく分かっていない。
この木材は「〇〇の音がする。」等と、実際に自分で楽器を製作して体感し、その木材の特徴的な音が鳴る事は事実と確認するのですが何故そうなる?と聞かれれば「そういう音がする木材だから」としか答える事しかできないのです。
確信と事実はありますが、証拠は自分しか分かりません。そこが問題なのです。私が現役ではありませんが現在は大学に通いながらお店を営業している事もあり、授業で知る事ができた「固有振動数」にてギターの新たな可能性に気が付きました。
もし既にそうした研究や記事を上げている工房や楽器メーカーがおられたら申し訳ありませんが、それっぽい内容が調べても出てこないのでもしかすると楽器業界ではかなり珍しい内容の記事になると思います。
新たな要素に気が付いて研究し、より良い楽器を世に出してくれるメーカーが増えていけば幸いです。
固有振動数
固有振動数とは物体が持つ振動系が自由振動を行う際、その振動系に働く特有の振動、単位はヘルツ(Hz)。
Wikipediaよりhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BA%E6%9C%89%E6%8C%AF%E5%8B%95
↑のページを一度見てほしいのですが、下記に進んでいくと理解ができない計算式が出てきて物凄く意味が分からない内容となるのでざっくりと説明します(笑)
物体には振動を与えると必ず共振するポイントがあり、ギターやベースで考えれば弦の発生する振動が木材により共鳴が強い木材or弱い木材があると考えて下さい。
弦から発生する振動を活かすも殺すも木材が持つ固有振動数が関係してくる、といった理屈です。具体的に金属パーツも付いているので木材限りの要素ではありませんが、木材で音が変わる理屈は固有振動数が関係するとして良いでしょう。
物である以上は物理法則が必ず発生するのですが、今までその物理法則に乗っ取った科学的な楽器の発明を行った話を聞いた事がありません。
例えば初めてのエレキギター(リッケンバッカーのフライングパン)が発明されたのが1932年、大まかに90年経っている計算ですけど木材の固有振動数は〇Hzとか、メイプルが最も美味しく共振する値は○○Hzとか、ギターやベースのカバーするHz帯域は分かっているのにその帯域の共振に合う木材は○○といった具体的に説明しているメーカーが存在しない様に思います。「ホワイトアッシュはベースのボディ材に良い」や「重たい材は太い弦じゃないと鳴らせない」等の言葉は昔からあったりしますが具体的な説明がありません。
楽器業界はとにかく経験則がメインで説明が出ています。当然ギターもベースも細い弦と太い弦が張られているのでその音域は広く、低域から高域まで全体を全て良い音で出せる様にカバーする共振は難しい事でしょう。
例えば具体的に「〇弦の音を良くしたい」のであれば、その弦のHzは分かる訳で、そのHzに合った最も共鳴が高い木材を使う事で特定の弦の音を良くする事は容易に可能になるでしょう。
ただし1本の弦だけ音が良くなっても意味が無いのが複数の弦がある楽器なので難しい所なのですが…。
この弦だけ音は良くなるが逆に音が悪くなる弦もあるはずです。
ベースで特定の弦だけやたら音量が大きいベースがあったりするのもこの理屈が当てはまると思います。私もいろんな木材を使ってギターベースを沢山作ってきましたが、特殊材はそこまで音が良い物では無く、沢山のギターベースを作ってきた結論として普通の材(メイプル・ローズウッド・アルダー等)が一番音が良い事が分かりました。
結果として一般的に使われる木材が音が良いという事は弦振動と木材が持つ固有振動数とのマッチングが良いと判断して良いのでしょう。
理論での説明はありませんがいろいろ試して一番良いと思った木材の組み合わせが一般化したのでしょう。
この辺りは具体的な研究結果として発表はありませんが、クラフトマンが経験則として一般的な木材の組み合わせと化したと思われます。今後として木材の固有振動数を研究すれば、ギターの一般的なネックはメイプルですが固有振動数的にギター弦のHz帯域と相性が最も良いのはメイプルではなく実は〇〇が相性良いとか、ベースには○○が良いとか(5弦ベースで未だに安定して良い楽器が少ない理由もこれが原因?)。
弦の振動の組み合わせに良い素材のセレクトにも貢献できますし、特殊な補強材等を仕込む事で固有振動数を変更し共鳴するポイントを操れるかもしれません。
実際に補強材を仕込む事で音質は変わります。強度だけでなく音質のコントロールにも貢献できるかもしれません。ギターもベースも弾いていると音が良くなる理屈も、木材は生きた細胞の塊なので弦の振動を良くしようと進化する(与えられ続ける弦振動を良くする為に木材自体が固有振動数を進化させていく?)とも言えるのでしょうか。
これらは理屈としては正しいかもしれません。
新しい要素を学べました。他の業界から得た知識は、楽器製作に取り入れられるかもしれません。長々読んで頂きありがとうございました。
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