- どうにかする事もまたリペア
- 2016/10/23
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リペアにはいろいろなパターンがあり、「リペア=決まったやり方」がある訳ではありません。
・予算に合わせて問題がある所だけを直す。
・全ての原因を直して100%の状態になる様に直す。
が基本の二通りですね。その為、お客様の依頼内容の都合によってはリペア手法が変わっていきます。
そして中には「これでは無理」と言う状態になっているギター・ベースもあります。
「多くのリペアショップで断られた。」や「直すなら高級ギターが1本買える位の金額を言われ諦めた。」等、中には考えられない位の状態が悪いギターベースが来た場合、どの様に判断して直すのか?と決める必要が出てきます。
直すのは非常に大変だけど、このやり方でなら直せる等、発想を転換する機会が必要になる場面も出てきます。
今回はそんな過去にあった経験の中で大掛かりだったリペアを一部紹介します。
それはお店を始めて間もない頃、「トラスロッドが折れている」という事で、いろいろなリペアショップを回ったが断られたりあまりにも高額な修理費でとても頼めないので困っているとの事で当店に来店されました。
確認してみると確かにトラスロッドは抵抗を感じず、ただただ中の棒が伸びていくだけで反りの変化がありません。
そして何よりの問題は弦を張っていない状態でもこれは弓矢かな?って表現してもいい位、物凄い順反りでした。世界で一番反っております!と言っていいのでは?と思う位、常識を遥かに超えた順反り状態でした。もちろんこれに弦を張れば更に順反りになるのでまず弾く事を絶望する順反りです。目視の段階でこれでは使い物にならないと判断ができる程、弦を張れば下手すれば弦高が2桁近くに達するのでは?という状態です。
トラスロッドが折れているなら指板を剥がしてトラスロッドを入れ直して直せる考えに至りますが、これだけ順反りが酷いとストレート出しに削るにしても無理がある状態です。ロッドを入れ直して、ロッドを限界まで回した所でストレートになるのか?と思う状態だし、プラスで削って真っ直ぐにできた所で弦を張った後の調整は?削った事で強度も下がるので将来的にまた順反りに困るのでは?と言うよりこの物凄い順反りなら削る修正の場合だと指板は確実に無くなるし、トラスロッドが埋まってるラインにまで達するだろうと、多くの所で断られた理由は考える程納得してしまう状態でした。
この時にダメ元でヒーター修正をやってみたのですが、ヒーター修正は熱と水分を利用し木材を膨張変形させクランプによりストレート修正の力を加えた状態で材に変形を加えて状態を矯正し直すもので、少しは良くなったと思えば数日様子を見てると結局元に戻ったり、意味はありませんでした。中には直る物もあるそうですが、リペアショップでヒーター修正が妙に安い理由もこの時納得しました。ヒーターによるリペアは直ればラッキーというレベルでしょう。
ネックがこの状態ではまずこのネックを直して使うのはとても無理、と判断しお客様と相談して決めていきます。
Fender等のボルトオンネックの誕生は生産効率もありますがネックに致命的な問題が起こればネックを交換できる事を理由に作ったと言われています。スルーネックの場合だとネック(ボディ中心までを含む)を交換する形となります。こちらの型はボディトップにトップ材を張ってるタイプなので、リペアはまずそのまま交換なら高額なリペアですね。
お客様の予算の兼ね合い等もあり、なるべく安く直したいとの事で新しくネックを作ってボルトオンのベースとして作り直す事となりました。
フォレストっぽいヘッドシェイプ・24フレットエボニー指板。インレイ無し・指板幅を大きめにとのオーダーとネック材はメイプルと指板はセレクトさせて大きさに合わせて作る事となりました。
トラスロッドが効かない理由は指板を剥がしてみるとロッドのエンド側、T字の溶接部が取れて真っ二つになっておりここで引っ掛かっていないからロッドが効かない状態・回せば中心の棒だけを引っ張って出てくるという状態でした。ロッド自体はただの鉄の棒なのでこれが折れるのは物理的に不可能ですので折れたパターンは聞いた事が無いので有り得ないと思いますが、今回の様な溶接部が外れるパターンは初めてでした。トラスロッド製造時のトラブルの様ですね。
状態の酷い元のネックを切って外し、ネックもボディも製作途中の写真ですがネックを作り寸法を合わせてポケットを掘ります。
セットネックやスルーネックもネックに致命的な問題が起きれば直すのが難しい、または高額なリペアが必要になりますがそれは通常の考えられるリペアをした場合で、リーズナブルな金額で直すならボルトオンにしてしまうのも手です。場合によっては今は何かしらでFenderタイプのネックなら単体で簡単に購入できますから、そのネックに合わせてザグリを掘って取り付ければリペア料金も抑えられます。
ネックグリップは好みもあるので、実際に触らせながら好みの仕様で仕上げて完成です!
直す事もそうなのですが、無理なものは無理と判断する事も大事です。無理なら別の方法で考えると。
幸い楽器は「作れる物」ですので、無理に直してずっと心配が残る様な仕上がりになるならイチから作った方が安心だし料金も手頃に済む事も多くあります。そのアドバイスもリペアでは行えますので、一人で悩まずにまずは相談してみましょう。
長々と読んで頂きありがとうございました♪
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ギターリペア工房 Draw a New Sound
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