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  • フレットすり合わせについて
  • 2015/06/02
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    当店のブログを読んでいればかなりの頻度で出てくる単語「フレットすり合わせ」。そもそもどんなリペアをやってるんですか?という声を頂いて、今回はすり合わせについての回です!

     

    ~フレット~

     

    「フレット=消耗品」と覚えて下さい。弾けば削れ、フレットの高さが低くなっていきます。どうなってしまうのか?絵に書いてみました。

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    絵のクオリティには触れないで下さい…笑

    極端に1箇所のフレットが弾いて削れた状態を表します。

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    赤い部分、2フレットですね。

    ここが削れるとします。

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    絵のクオリティには触れないで下さい…(笑)

    極端に表すとこの様な形になります。

    減ったフレットだけ高さが低くなり、隣のフレットに当たりビビりや酷くなると音が詰まります。音は出ても高さが合ってないフレットでは弦の振動をフレットが当たって妨げて、弦が鳴りきれず「鳴りが悪い・音が悪い」となります。

    そして実は弾かなくてもフレットの高さは経年変化で少しづつ変わっていきます。木材は湿気・乾燥で収縮や膨張し、その為フレットの高さに狂いが出てきます。なので1度リペアしたらこの先ずっと同じ状態って事はありません。

    状態はどうしても弾いて使っていると削り減っていくものですので、状態が悪くなってくればメンテ・リペアは基本になります。

    また「木材が動く」のが分かりやすいのは指板橫の変化です。

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    これは状態が悪い例なのですが、木材が乾燥して縮むとフレットは金属で形は変化しないので、結果的に指板の橫からフレットが飛び出た様な状態になります。

    さすがにこの様に極端な変化は稀なので、なかなか見られない例の物なのですが木材で作られている以上は気を使って保管・定期的なメンテは必要です。

    またフレットすり合わせの精度自体が販売されてる段階で悪い場合(工場で作ってる時点で問題が起きている・運送時の状態変化)もあります。新品だから大丈夫!って事も通用しなくなってきました。

    さすがに国産メーカーは大丈夫そうな印象ですが、海外製の30~40万円の製品でも新品で買ったばかりのギターが音詰まりしており、お客様からそのギターをリペアした経験も多数あります。海を渡ってくる影響で状態が悪化してるだけかもしれませんが。ちゃんとした状態で使いたいギターは購入しましたらリペアショップに診断させる時代にはなってきております。販売元で気が付いたとしても直して売るのはコストの問題で触れられない部分なのかもしれません。

     ~すり合わせ~

     

    前置きが長くなりましたが、フレットすり合わせとは弾いて減ったフレットの高さに合わせて全体を削り高さを整えるのが基本のリペアです。上部で説明した様に、減ったフレット箇所ではビビりや詰まり、または弦振動がフレットの高低により邪魔され鳴りきれない現象がおきます。これは「減った高さに合わせて全体を削れば良い」となりますが、そんな単純にいかないのもこのリペアの特徴です。フレットの減りだけでなくネックのネジれ、ハイ起き、複雑な反り等、すり合わせる際にネックの状態を見極め、「どう削って直すか?」がとても大事になってきます。

    またこの段階では100%のすり合わせにはなりません。ネックは弦を張ります。弦の張力でネック状態が変わります。弦を張った状態も見極めてすり合わせないといけません。もちろん弦を張りネック状態をチェックします。変化しないネックはリペアがし易いですが、弦を張ると急激に変化するネックもあります。簡単に見えているかもしれませんが難しいリペアなのです。



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    こんな錆びてかなり減った酷い状態でも上面を凹みが無くなるまですり合わせたら1度組み込みネック状態をチェックしOKなら角を丸めしっかり磨き上げます。

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    バッチリ完成です。これがフレットすり合わせの基本となる工程になります。フレットすり合わせは重要で、状態が悪い物程リペア後が弾き易くなり音が良くなります。弦がしっかり鳴るコンディションが大事なのだなと、リペアする度に思います。どんなに良いパーツを付けていても、状態が悪い事でしっかりと弦が鳴りきれない状態では宝の持ち腐れになります。

    「弦がしっかり鳴りきる事=木材を鳴らしてくれる」が良い音の秘訣だと思っています。ちょっと別の話になりますが、低い弦高は早弾きするならしょうがないのですが音の良さを考えたらある程度の高さで妥協しないといけません。また弦専門のメーカーから販売されている弦を使った方が良いでしょう。安い弦はオクターブ調整が安定しない事やサウンド面でも良い音がしないのが多い印象です。

    ~最後に~

    この内容で間違えないでほしい事はフレットが減る事は弾けば当たり前で、減らしたフレットはそれだけ弾いた証であり良い事なんです。楽器本体自体が100%の実力を発揮できてない場合はナット・フレット・調整の問題が殆どです。皆様も一度自分のギター・ベースをリペアされてはいかがでしょうか?


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