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  • 中古ギター購入ガイド:失敗しないための全知識と10のチェックポイント
  • 2025/10/19
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  • 中古ギターの世界へようこそ!

    「憧れのあのモデルを安く手に入れたい」「新品にはない“鳴り”の良い個体が欲しい」「もう生産されていないヴィンテージギターを探している」…

    中古ギターには、新品にはない魅力がたくさん詰まっています。

    しかし、中古ギターは「一点もの」。前のオーナーの弾き方や保管状況によって、状態は千差万別です。見た目はキレイでも、実は重大な問題を抱えていることも…。

    この記事では、中古ギターの購入で失敗しないために、必ず確認すべき10のチェックポイントと、知っておくべき注意点を詳しく解説します。

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    【中古楽器のメリット・デメリット】

    1. なぜ中古? メリットとデメリットのおさらい
    まず、中古ギターを選ぶことのメリットとデメリットを整理しておきましょう。

    ~メリット~

    ●価格: 新品よりも安価に購入できる。同じ予算でもワンランク上のモデルを狙えます。

    ●希少性: 生産完了モデルや、特定の年代にしか作られなかったレアなギターに出会えます。

    ●サウンド: 長年弾き込まれ、木材が乾燥・安定することで、新品にはない「鳴り」や「こなれたサウンド」を持つ個体があります。

    ~デメリット~

    ●状態の個体差: 状態が非常に悪く、修理が必要な「ハズレ」個体が存在します。

    ●保証: 保証がない(個人売買など)、または新品より短い場合がほとんどです。

    ●消耗: パーツが消耗しており、購入後に交換が必要になる場合があります。

    この記事のチェックポイントは、この「デメリット」を回避するためにあります。

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    【中古品はどこで買えばいい?】

    2. どこで買う? 購入場所の比較

    中古ギターは主に「楽器店」か「ネットオークション・フリマアプリ」で購入できます。

    ●楽器店(中古専門店・大手楽器店) 推奨度:★★★★★ (特に初心者)

    ・メリット: 専門スタッフによる検品・調整・クリーニング済みの場合が多い。試奏が必須。楽器の状態について直接質問でき、多くの場合、店舗独自の保証が付いてきます。

    ・デメリット: 個人売買よりは価格が少し高めになる傾向があります。

    ●ネットオークション・フリマアプリ 推奨度:★☆☆☆☆ (上級者向け)

    ・メリット: 掘り出し物や、相場より安価な個体が見つかる可能性があります。

    ・デメリット: リスクが非常に高いです。写真や説明文だけで判断する必要があり、「ネック反りなし」「ガリなし」と書かれていても実際は問題があるケースも。基本は「現状渡し」「ノークレーム・ノーリターン」であり、知識がないと失敗する可能性大です。

    結論:特に初めて中古ギターを買う方は、必ず試奏ができ、保証が付く「楽器店」で購入しましょう。

    ★ポイント★
    楽器屋だからと言っても「担当が詳しい人か限らない」事を忘れてはいけません。
    あくまで自分で知識を付け、店員と話をしてみて判断しましょう。
    素人店員から買うという事はネットオークションと同等にリスクがあります。

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    【購入時のポイント】

    3. 【最重要】中古ギター購入時の10のチェックポイント

    楽器店に着いたら、いよいよ実物をチェックします。以下の順番で確認していきましょう。

    ●チェック1:ネックの状態(最優先)

    ギターの「命」とも言える部分です。ここがダメだと、他の部分が良くても購入は見送るべきです。

    反(そ)り:弦の張力でネックが順反り(お辞儀する方向)したり、逆反り(のけぞる方向)したりします。

    確認方法: ギターを構え、6弦(一番太い弦)の1フレットと最終フレットを同時に押さえます。その状態で、12フレット付近と弦の間にわずかな隙間があるのが理想です。隙間が大きすぎる(順反り)、または弦がフレットにべったり付いている(逆反り)場合は注意が必要です。

    ねじれ:ネックが文字通り「ねじれて」いる状態。これは修理が非常に困難です。フレットを削って真っ直ぐに成形するか、フレットを交換時に指板を削って修正する形になり高額な修理費が発生します。

    確認方法: 上記のネック反り確認方法と同じく、1~6弦全ての隙間を確認してみる。
    ねじれがあると、1弦側と6弦側で反りが違ってきます。

    ★超重要★トラスロッドの余裕:ネックの反りを調整する「トラスロッド」という金属の棒がネック内部に入っています。

    確認方法(店員さんに聞く): 「トラスロッドの余り量は余裕がありますか?」と必ず質問しましょう。

    もしロッドが回りきっていて「限界」だと、今後ネックが反った時に調整ができなくなります。
    また余り量が少ないと反った際に完璧に修正が困難になる他、使用していれば大体は順反りするのでトラスロッドの余り量とは「楽器が正しい状態で使える上での猶予、余り量が多い=寿命が長い」の意味にも直結します。

    この辺りを詳しく説明しない楽器屋からは買わないで下さい。
    この時点で殆どの楽器屋がNGに当たります。とても大事な事を客に説明しておりません。
    トラスロッドの余り量を重要視しない店員は素人の可能性があり、またトラスロッドの重要性を正しく理解・説明できない店員から買うのは非常に危険です。
    トラスロッドの余り量を聞いて「左右に回りますよ」とか言う人は素人、また実物をその場で回して確認させない店員も危険です。
    買った後で気が付いて返品や相談を受けに行っても、相手が素人過ぎて話を理解してもらえず対応してくれません。

    ●チェック2:フレットの状態

    演奏性や音の詰まり(ビビリ)に直結します。

    残り(高さ):フレットは弾くたびにすり減ります。「フレット残り8割」などと表記されます。

    確認方法: 全体的に見て、フレットが低くなりすぎていないか確認します。極端に低いと、弦が指板に当たりやすくなり、音が詰まったり弾きにくくなったりします。

    部分的な凹み:よく使うポジションだけが凹んでいる「偏減り」がないか見ます。これも音詰まりの原因になります。

    補足: フレットのすり合わせ(高さを揃える)や、打ち替え(交換)は数万円かかる高額なリペアです。

    ★ポイント★
    中古は弾かれていた楽器なのでナット・フレットは基本消耗しています。
    この辺りは神経質になってはダメで、基本は消耗箇所を直す事を考えて購入するのが当たり前です。

    ●チェック3:電装系(※エレキギター/ベースの場合)

    必ずアンプに繋いでテストさせてもらいましょう。

    ボリューム・トーンの「ガリ」:ノブをゆっくり回した時に「ガリガリ」「ブツブツ」というノイズが出ないか確認します。多少のガリは洗浄で直ることもありますが、ひどい場合はパーツ交換(ポット交換)が必要です。

    ピックアップセレクター:スイッチを切り替え、全てのピックアップから正常に音が出るか確認します。切り替え時にひどいノイズが出ないかもチェックします。

    ジャックの接触不良:シールド(ケーブル)を挿した状態で、ジャックの根元あたりでシールドを軽く揺らしてみます。音が途切れたり、ノイズが出たりする場合は接触不良の可能性があります。

    ●チェック4:弦高

    弦とフレットの間の高さです。

    確認方法: 12フレット上で、弦とフレットの隙間を見ます。

    高すぎる(弦が浮きすぎている)と弦が押さえにくく、弾きづらいです。

    低すぎると弦がフレットに触れてしまい、音がビビりやすくなります。

    補足: 弦高はブリッジで調整可能ですが、ネックの状態が悪くて弦高が高くなっている場合もあるため、ネックの状態と合わせて判断します。

    ★ポイント★
    基本はネック反りを決めてからサドルで弦高調整を行います。
    この辺りがいい加減な状態で販売している楽器屋は要注意です。素人の可能性が高いです。
    また試奏で店員に再調整を望むのもお勧めです。ここで正しく調整できない様なお店で買うのは辞めた方が良いでしょう。

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    ●チェック5:オクターブピッチ

    開放弦の音と、12フレットを押さえた音(実音)が、ちょうど1オクターブ(同じ音の高さ)になっているか。

    確認方法: チューナーを使って、開放弦(例:6弦 E)と、その弦の12フレットを押さえた音(E)が、どちらもチューナーの真ん中に来るか確認します。

    これがズレていると「音痴なギター」になってしまいますが、通常はブリッジのサドル調整で修正可能です。

    ★ポイント★
    稀にブリッジ位置の取り付けミスによりオクターブ調整が合わない楽器が存在するので要注意です。試奏の際に触って確認しましょう。
    某高級カスタムショップの70~80万円(新品)でそうした個体を見つけた事がありお客様に返品を勧めた経験あり。
    そうした個体が楽器屋で売って販売されている事自体も問題なので検品レベルがいかに酷いのかも分かります。
    自分で知識を付け、購入前に念入りに確認する事を癖付けましょう。

    ●チェック6:パーツ類(ペグ・ブリッジ・ナット)

    ペグ(糸巻き): スムーズに回るか。固すぎたり、ガタガタしたりしないか。

    ブリッジ/サドル: サビがひどくないか。弦高やオクターブ調整用のネジが固着(サビや汚れで動かない)していないか。

    ナット(ヘッド側で弦を支えるパーツ): 溝が深すぎないか(開放弦がビビる原因)。割れや欠けがないか。

    ●チェック7:ボディ・塗装の状態

    傷や打痕: 多少の傷は中古の味ですが、価格に反映されているか確認しましょう。

    割れ: 特にネックとボディの接合部(ジョイント)や、ヘッドに大きなヒビや割れ、修復歴がないか入念にチェックします。木部に達する割れは音や強度に影響します。

    中古は傷・汚れが付いているのは当たり前です。神経質に見ない様にしましょう。

    ●チェック8:異音・ビビリ

    アンプに繋がない「生音」で、まず全ての弦の開放弦を鳴らします。変なビビリ音がないか確認します。
    次に、1フレットから最終フレットまで、1音ずつ弾いていき、特定のポジションで音が詰まったりビビったりしないか確認します。

    ★ポイント★
    弦高によってビビり音は変化しますので要注意です。
    弦高が低い調整にしてるのにビビり音が出ると苦情を入れるのは恥ずかしい行為です。
    また弾く人の力が強い場合、弦の振動幅が大きくなるので普通の人よりもビビり音が増える形となりますので「正しく弾いた上でのビビり音か?」は知っておかないと恥ずかしい思いをします。

    ●チェック9:改造点・パーツ交換歴

    オリジナル(工場出荷時)の状態からパーツが交換されている場合があります。

    確認方法(店員さんに聞く): 「どこかオリジナルから交換されているパーツはありますか?」と質問しましょう。

    ピックアップ(音を拾うマイク)が良いものに交換されている(アップグレード)場合もあれば、安価なパーツに交換されている(デグレード)場合もあります。

    ★ポイント★
    電装パーツの交換は細かな点は店員でも気が付かない場合があります。
    電装パーツも消耗品ですので、基本は交換する事も考えて中古楽器は買わないとダメです。
    ピックアップだけは何が付いているか確認すると良いですがポット等の消耗品は基本交換する前提で購入しましょう。

    ●チェック10:付属品の有無

    純正のハードケース、ソフトケースが付いているか。

    トレモロアーム(フロイドローズやシンクロナイズドタイプの場合)が付属しているか。

    (もしあれば)保証書やマニュアルなど。

    4. 最終確認:必ず「試奏」する

    全てのチェックを終えたら、必ず試奏しましょう。スペックや見た目が良くても、実際に持ってみたバランス(ヘッド落ちしないか)、ネックの握り心地、そして何より「音が自分の好みか?」どうかが一番大切です。

    気になったら、同じ価格帯の他のギター(新品も含む)とも弾き比べてみましょう。

    ~まとめ~

    中古ギター選びは、まさに「一期一会」です。状態を見極める知識は必要ですが、それをクリアすれば、新品にはない素晴らしい魅力を持った「相棒」に出会える可能性があります。

    この記事のチェックポイントを参考に、ぜひあなただけの一本を見つけてください。不安な点は臆せず店員さんに質問し、納得のいくお買い物を楽しまれることを願っています!

    大事な事は「店員任せにしない事」です。自分で使い続ける楽器を買う訳ですから購入前に勉強して知識を付け、絶対に良い物を手に入れる意識で購入に望みましょう。


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