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  • トラスロッドが限界!?回らなくなった時の対処法と修理の選択肢を徹底解説
  • 2025/12/03
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  • ギターのトラスロッドが限界(締めきった状態)になってしまった時の絶望感、とてもよく分かります。「もうこのネックは寿命なのか?」と不安になるかと思いますが、必ずしも終わりではありません。

    トラスロッドが限界に達した際の、現状確認からDIYでの応急処置、そしてプロによる修理内容までを網羅したブログ記事構成を作成しました。

    「ネックが順反りしているのに、トラスロッドがこれ以上回らない……」

    ギターやベースを長く愛用していると、いつか直面するこの問題。ロッドが限界を迎えた=ネックの寿命、と考えて諦めていませんか?

    実は、トラスロッドが回りきったとしても、まだ打つ手は残されています。

    今回は、トラスロッドが限界(締め切り)になった際のチェックポイントと、簡単な裏技、そして最終的なプロのリペア内容について詳しく解説します。

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    【トラスロッド限界を見極める】

    1. まず確認!本当に「限界状態」ですか?

    対処を行う前に、その状態が本当に「ロッドの限界」なのかを見極める必要があります。

    ●固着しているだけの可能性・・・長年調整していないギターの場合、単にネジ山が錆びたり、汚れが詰まって固着しているだけのことがあります。

    対処法: 一度ナットを緩める方向(左)に少し回してみてください。
    もし「パキッ」という音と共に動くようなら、単なる固着の可能性があります。
    一度ナットを完全に取り外し、ネジ山にグリスを塗って締め直すだけで、さらに回りシロが生まれることがあります。

    ■注意■
    ビス山にグリスを塗ると「必要以上に回し易くなる」事からオーバートルク(回し過ぎて壊す原因)となるので要注意です。

    ●ナットが底付きしている可能性・・・十字ナットが使用されたトラスロッドに多いトラブル。
    メーカーの製造精度が悪く、トラスロッドが貫通しない十字ナットが使用されているとナットが木部に当たってトラスロッドを引っ張るよりも前に内部で締める限度が来てしまい回らなくなっている状態をトラスロッド限界と誤解し易いです。
    こうした場合、別のトラスロッドナットに交換(六角穴ナット等)に交換するとナット内部で底付きする事無くトラスロッドを効かせる事が可能です。

    ●物理的な限界(締め切り)・・・ネジが完全に止まり、無理に回そうとすると木部がミシミシ鳴る、あるいはネジ山を舐めてしまいそうな状態。
    これが本当の「限界」です。これ以上、力任せに回すのはロッド折れの原因になるので絶対にNGです。
    こうした状態になってしまうと売却時に値下がりの原因となり、この状態で弾き易いならまだしもトラスロッドが限界状態で順反りしてしまうと状態が悪いジャンク品扱いになる事があります。

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    【ワッシャーを使えって本当?】

    2. 【DIY初級】魔法のアイテム「ワッシャー」追加術

    これが最もポピュラーで、効果的な応急処置です。 トラスロッドのネジ山(スレッド)が足りなくなっている場合、スペーサーを噛ませることで復活する可能性があります。

    ★ポイント★
    上記にあったトラスロッドが底付きしている状態の場合、ワッシャーを入れる事で解決できる場合があります。

    ・仕組み・・・ロッド自体にはまだ余裕があるのに、ナットがネジ山の終点まで来てしまって回らないケースがあります。
    この場合、ナットと木部の間にワッシャー(金属のリング)を挟むことで、ネジ山の位置をずらし、さらに締め込めるようにします。

    ■注意■ただしトラスロッド穴の中に入るワッシャーは少し特殊サイズです。
    ホームセンターで見つかれば良いですが、内径6mm外形9mm程度の特殊なワッシャーが必要になります。

    【手順】
    弦を緩め、トラスロッドナットを完全に取り外す。

    ホームセンター等で、ロッドの径に合う厚みのあるワッシャーを購入する(専用のスペーサーも楽器店で売られています)。

    ワッシャーをロッドに通し、ナットにグリスを塗って再度取り付ける。

    締め込んでいき、調整できるか確認する。

    ■注意■そもそもロッド自体がこれ以上引っ張れない(ネック自体が大きく順反りしすぎている)場合は、ワッシャーを入れても効果はありません。無理に回すとロッドが切れます。

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    【順反りは簡単に直せる?】


    3. 【DIY中級】クランプを使った「手動矯正アシスト」

    過去のYoutubeでも紹介しましたが、ネックの反りはクランプによる逆反りで直せるかもしれません。

    トラスロッドの力だけでネックを真っ直ぐにするのではなく、外力でネックを逆反りに負荷を与え順反りを真っ直ぐに戻すように固定するという考え方です。

    【手順】

    弦を緩める。ネックを外す。

    ネックを固定し、クランプ等を使って物理的に「逆反り」の状態へ少し力を加える(あて木をして傷つかないように!)。順反りが酷い場合はより大きな力を与えて矯正する。

    数日~数週間、放置する。

    クランプを外し、順反りが真っ直ぐな状態に直ってきたか?を確認する。

    警告: 力加減を間違えるとネックが割れたりするリスクが高い方法です。自信がない場合はプロに任せましょう。

    ■注意■動画でも紹介していますがネック状態が数日で変化する可能性がありますので、何度も確認して作業して下さい。
    弦を張る=順反り方向に弦張力で曲がっていきますので、このクランプ矯正はその逆をする行為になります。
    クランプ矯正は特に特殊な方法ではありません。リスクが少なく順反りを直せるかもしれない方法です。

    【リペアショップで直す】

    4. プロのリペアショップに依頼する場合の選択肢

    DIYでの対処が難しい、あるいは大切なヴィンテージギターである場合は、迷わずリペアショップへ相談しましょう。主な修理方法は以下の3つです。

    ●ネックアイロン(ヒーター修正)

    内容: ネックに専用のヒーターとクランプを取り付け、熱を加えて木の癖(曲がり)を矯正する方法。

    メリット: 比較的安価(1万円〜2万円程度)。オリジナルパーツを維持できる。

    デメリット: 熱による変形リスクがあり、場合によっては状態が悪化する。時間が経つと状態が元に戻ったり再発する可能性がある。

    ■注意■ネックアイロンで必ず直ると思わない方が良いです。基本は「直ればラッキー」レベルで、精度の悪いメーカーは熱による指板剥がれが起こったりします。

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    ★ポイント★多くのリペアショップではネックアイロンのリスク面を説明しておりません。
    皆様が思っている程、メーカーの作りは良くありません。
    某社のギター/ベースに多い接着面の接合部分の塗装が割れていたりする物は「既に隙間が起きている状態」ですし、ちゃんと接着されている様に見えて中身は隙間でスカスカで衝撃で簡単に外れてしまった等が起こったりします。

    この様な状態の物に熱を与えてしまうとどうなるか?
    接着接合面の塗装が割れている様な所に熱を与えれば接着箇所の剥がれが起きたり、ラミネートネック等は剥がれたりセットネックはネックが取れたりと熱によって状態が悪くなる可能性が出てきます。

    ネックアイロンを気軽にやって良いのは基本的に接着が最低限しか行われていない1Pメイプルネックだけです。
    基本的にネックアイロンの構造自体が間違っていて、反りを直すのに曲げたい箇所はネックなのに対しネックアイロンは指板から当てて熱矯正する仕組みそのものが間違っています。
    ネックグリップ側からネックアイロンを当てる仕組みでないとおかしな作業方法になります。

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    海外の自宅で自己流ネックアイロンをされた方の記事にて、写真の様にネックグリップ側からの熱源を与えクランプ矯正する事が理想的な直し方です。
    指板側からの熱源は指板剝がれの可能性や、曲げたいネック側へ熱伝導の意味でも効率が悪いです。
    何故にネックグリップ側から当てるネックアイロンが販売されないのか非常に疑問です。
    詳しくは下のネックアイロンについての解説ブログ記事を参照下さい。

    乾燥によるネックの順反り・ネックアイロン熱矯正による詳しい授業

    https://dns-guitar.jp/%e4%b9%be%e7%87%a5%e3%81%ab%e3%82%88%e3%82%8b%e3%83%8d%e3%83%83%e3%82%af%e3%81%ae%e9%a0%86%e5%8f%8d%e3%82%8a%e3%83%bb%e3%83%8d%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%83%ad%e3%83%b3%e7%86%b1%e7%9f%af/

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    ●指板修正(指板調整・すり合わせ)

    内容: フレットを一度すべて抜き、指板の木部を削って平らにし(反りを削り取る)、再度フレットを打ち直す方法。

    メリット: 物理的に平面を出すため、確実性が高い。演奏性が劇的に向上する。

    デメリット: 高価(7万円〜)。指板が少し薄くなる。

    ★ポイント★物理的に真っ直ぐに直すので確実性はあるが、あまりにも順反りが酷い場合は諦めた方が良い。

    ●トラスロッド埋め込み直し・指板貼り替え

    トラスロッドの効きが悪い場合(回しても反りが全然変化しない等)に考えてほしい方法。

    内容: 指板を剥がして内部のロッドを新品に交換したり、強度のあるカーボンロッドを埋め込んだりする大手術。

    メリット: 根本的な解決になる。

    デメリット: 非常に高額かつ、音色が変化する可能性がある。基本的にここまでやる必要があるなら買い替え。

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    ~まとめ~

    トラスロッドが限界を迎えたからといって、そのギターが弾けなくなるわけではありません。

    まずはグリスアップしてみる、トラスロッドのナット交換やワッシャー(スペーサー)を入れてみる、ダメならプロに修正などを相談する事が重要です。

    このステップを踏むことで、愛機をまだまだ現役で活躍させることができます。

    上記の方法を行うなら自己責任にはなりますが、試してみる価値は大いにあります。

    大切なギターと長く付き合っていくために、適切な処置をしてあげましょう!


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