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  • リペアがプレイヤーの腕に反映される
  • 2016/06/24
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    お客様から依頼された状態が良くないギター・ベースをリペアし、直して手渡すと格段に良くなった弾き易さと音の良さにビックリされるお客様がとても多く、嬉しく思います。

    しかし逆に「元がかなり酷い状態だったから、今だと良くなり過ぎてこれに馴れるのが大変だ。」と言われるお客様も何度かあります。そのパターンの多くはあまりに状態が良くないギターを長年無理して使ってきた事で状態が良くないギターを弾く手癖が抜けずに付いている事が考えられます。良い状態になった事で本来必要が無い無駄な力を入れて弾いてしまう…それらの必要無い要素を取り除くリハビリの様な事になるお客様を何人も見てきました。状態が良くないギター・ベースを無理に弾き続けるのは損です。今回はそんな分野にスポットを当てましょう。

     

    上手くなりたければ高いギターを買え!は本当?

    雑誌等を読んでいたら「上手くなりたければ高いギターを買え!」や「プロはみんな高いギターを使っているから。」等の文を読んだ経験があるかと思います。雑誌にもよりますが具体的には細かく詳しくは書かれておらず、大体は「ココがこうなってて、それで弾き易くて音が良いから。」のざっくりとした内容かと思います。

    弾き易さは状態に深く関係します。安価なギターは最近だと精度が上がり極端に良くない状態のギターも減ってきた傾向にあるので、状態が悪く弾き難いハズレに当たるリスクは少くなった事かと思います。ただし細かい所で状態が良くない物があったりしてベストな調整を行うには難が出てきてリペアが必要になる物も多い印象です。

    リペアで多くのギターベースに触っていると各メーカーにはある基準がある様に見えてきます。例えば高価なメーカーや国産メーカーには低い弦高で攻めた調整も音にビビり詰まりが出ない精度の物が多かったりします。そこは価格に見合う状態と日本製のクオリティですね。安価なギターは大体標準以上のセッティングで問題が無ければ良しとしてる仕上げが多い様で、弾き易くなる様に調整していくとビビりや詰まりが出てくる限界ラインが低い状態の物が多い等があります。

    もちろん安価なギターはコストを押さえたからこそ実現できる販売価格でもあり、良い状態に持っていく為のシビアな製造時間を掛けて製造するには人件費等も含め価格が釣り合わなくなる事から我々も「この金額のギターを買うなら状態に何かしらトラブルがあってもしょうがない。」と割り切るのも必要な事でしょう。

    自分の基準ですが、良いメーカーの廉価版や国産は10万円以下からでも良い状態にできる物もありますが、コスト的に状態に文句が言えるレベルになるのは20万円台からかなぁと思っています。また逆の考えもあり、付いてるパーツが豪華で価格も安価ですが状態が良くない物が多いというメーカーも存在するのですが、これをリペアする前提で購入しても充分安い金額で良い物が手に入れられるメーカーがあるパターンもあります。

    なので「高いギターを買った方が良い」は最初から状態が良い事で弾き易く、そして音が良い物が多いので長い目を見ると失敗は少ないと思います。安いギターが駄目という訳ではありません。状態が良く自分の好きな音がするなら安価なギターを選ぶ事は間違いではありませんが、安価なギターには安価なパーツが付いている場合が多いのでパーツが壊れ易かったりもっと良い調整に攻め込みたいとした時のトラブルが起きたりします。使い続ける長い目を見たらリペアが多くなるギターかと思います。



    手癖

    運悪く、と言うべきか状態が良くないギターを購入し弾き続ける事によるトラブルがあります。楽器のトラブルと言うより自分へのトラブルですね。弾き難いギターを弾くには余計な力を必要とします。本来そんな力は要らない力を使ってしまう癖が付いてしまいます。

    フレットの減りで希に異なる減り方のギター・ベースがあります。

    ①普通に弾いていたら上面が削れ平になるパターン

    ②押さえる方向に向かって斜めに削れてるパターン

    と二通りがあります。①は普通に弾いていて消耗するパターンですので問題はありません。問題があるのは②のパターンの方です。

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    この様な感じですね。ヘッド側に向かって減りが大きくなっています。強い押弦は音程が上がり正しい響きにならなかったり、フレットに対し押し付ける形になるので消耗も早くなってしまいます。ギターはソロ以外は殆ど2箇所以上を押さえて弾く事が多いので、フレットの消耗によるフレット高の違いに押さえる指の力加減がそれぞれ異なってくる為、指の抑える力が均等にならず弾き難いくなります。減った部分は他の弦よりポジション的に弦高が高くなるので減った箇所のフレットを鳴らすには他の弦より強く押さえないといけないので変に力む癖が付いてしまいます。その他にナット溝の高さが高い・ネックが順反りしている・各弦高が整った高さじゃない等も弾き難い原因になります。

     

    演奏のプロから学ぶ事

    リペアショップを営業していたらアマチュアからプロの方まで幅広くリペアを行います。
    プロの方からのリペア依頼を頂いた際にアドバイスを聞きまして「押さえる指の力加減を知り、脱力に似た必要最低限の力だけで弾く。」とコメントを頂きました。
    具体的に弦を弱い力加減から押さえていき、力がどの位まで掛かったら音が鳴る様になるか?と言う練習法です。もし音が鳴るのに力が必要な状態でしたら調整を見直した方が良いでしょう。
    もちろん弦高等の状態にもよりますが、やってみると意外にも楽な力で押さえても音は鳴るので力は殆ど必要無い事が分かるかと思います。
    この力加減を覚えて意識しながら弾く事で無駄に力を加えず運指もスムーズに行えるとの事です。
    良くない状態では力を入れて弾かないといけないので、力を入れている状態では指の動きがスムーズにならない事や音程シャープによる不協和音が気になってきます。

    プロのギター講師のリペアをした際に聞いた話では、上手くならない生徒・上達が遅い生徒に大体共通するのは弾き難いギターを使ってるとの事です。



    まとめ

    結局は良い状態ギター=高いギターを買えって事に感じる内容でしたらすいません(汗)。ギターを購入に決める要素は見た目だったり音が良い事が先に来るはずですので、見た目も音も気に入ったが弾いてみるとなんか弾き難い…なんてギターは諦めるのではなく手段としてリペアで直してしまえば良いという選択肢もあります。正直楽器は弾いて楽しむ物ですので自分が気に入るなら値段の高い安いは関係無いと思いますが、大事な事はいわゆる「一生使っていける物か?」と考えてみると良いでしょう。

    結構トラブルになる事は新品=状態が良いとは思わない事です。上記にも書きましたが値段にはコストがあるので新品なのに音にビビり詰まりがある状態の物も普通にあります。トラブルがあれば直してもらう事も購入時に覚えておきましょう。見た目・音・弾き易さ、全てが揃ったギターを手に入れましょう。

    最後にですが、ギターのナットやフレットは消耗品ですので弾けば弾く程擦り減って最終的に状態が悪くなるトラブルになります。ギター=消耗品パーツで作られている物と考え「トラブルが起これば直して使っていく物」と思って使って下さいませ。

    長々と読んで頂きありがとうございました♪


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