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  • フレットすり合わせについて ~その2~
  • 2016/05/18
  • Category:
  • -フレットすり合わせについて-

    昔の記事になりますがフレットすり合わせの詳細「フレットすり合わせについて」の記事を書きました。
    そして今回リペアされたお客様から「すり合わせで音がかなり良くなったけど、以前とどの様に変わったのか知りたい。」と質問され、新たに記事にしました。
    フレットすり合わせはリペアの記事に多く出てくる重要なリペアです。
    前振りとして過去の記事を読んでからこちらの記事を読まれるのをオススメします。



     

    -フレットすり合わせ手順-

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    フレットすり合わせはマスキングを貼る→ネック調整→すり合わせ→丸め→磨き
    の順になります。
    すり合わせ前の確認としてネックの状態見極めがかなり重要ですが、ネックは使っているとフレットが減る事もそうですが特にローズやエボニー指板は塗装がされてない事から指板自体も湿気による膨張や乾燥による収縮の影響でウネリが出てきます。
    ウネリだけでなく捻れが起きていたりハイが起きていたり、これらはトラスロッドの調整で直せないのですり合わせで直す事も可能です。
    その際にどう削れば良いか等、状態を確認し作業の判断次第で完成品に大きな影響が出てきます。
    無駄の無い効率が良い状態に調整しすり合わせを開始します。



     

    -すり合わせ確認-

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    リペアで毎回行っているのがすり合わせた後に弦を貼って状態を確認する作業です。
    弦が張られていない状態ですり合わせているので精度としてはこの段階でまだ100%とは言いきれません。
    弦を張って調整した状態で難が無い事を確認して初めて完成と考えています。
    木材には木目があり、強度が端から端まで一定の硬さではありません。弦を張ると捻れを起こしたりハイが起きてきたり、またトラスロッドを調整したら大幅にフレットラインが崩れる等、そうした難が出るネックも見極めが必要です。
    また応用として「弦を張ると捻れるorハイが起きてくるネック」等、弦を張って状態が悪化するタイプのネックは経験上ですが将来的にも出た狂いに変形してくる可能性が高いです。
    なのでせっかくすり合わせても将来的に変形が起きて状態が悪化したらまたすり合わせしてね、と言うのも不親切かなと思いますので将来の事も考えて出てくる狂いが悪化しても状態が極端に悪くならない様にすり合わせしておく事もリペアの方法で行えます。
    ベースに関しては弦の張力が強い事からハイが起き易く、各メーカーでハイが起きてもある程度は大丈夫な様にハイポジションが多めに削られてる等の対策が見られます。



     

    -すり合わせ後の処理-

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    音に影響する大きな点は丸みです。今回も絵になりますが、下手ですいません…笑
    すり合わせ自体は状態の見極めから行う上面すり合わせで仕上げますが、その後の処理がかなり音に影響を与えます。
    お客様が感じる「音が良くなったけど何故?」と感じる理由は大体この辺りにあります。
    フレットにはセンターがあり、フレットが削られてくると上面が平らになり弦の当たる面積が増え抜けや立ち上がりが悪くなるだけでなく音程感も悪くなります。



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    丸め作業も市販のギター・ベースで低価格な物は細かい所が簡略化されコストダウンされています。市販品も写真の様なすり合わせた後に上面の角を軽く取った面取りだけで終えている場合の物も多いので、状態が悪くなくても丸め作業を行うだけで見違える様に音が良くなる物もあります。

    _20160518_101704重要なのは点で当たる事ですね。弦がセンターだけに当たる様に丸める事がお客様が弾いててびっくりする位良くなったと感じる理由です。押さえた時に確実にセンターを捕らえ、ギター等のコード弾きによる複数の弦を弾いた時は各弦の混ざりがかなり良くなります。

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    丸めた後は磨いて完成です。
    簡単に見えてかなりの技術が必要なのがフレットすり合わせというリペアです。
    今は市販品にもリペアができる工具が売られ、それらを買ったら自分でリペアができるのでは?と思うかもしれませんが落とし穴がいくつもあります。
    結局は技術が必要な事と、あまり深くは書けませんが皆様がお目にできる様な所で売られてるリペア工具を使ってリペアをしてるリペアマンは自分の知る限り粗居ないとだけは書いておきます。やはり皆拘った良い工具を使っています。何事も餅は餅屋、良い工具を使い高い技術力が必要です。大事な楽器を状態良く使うのでしたらプロのリペアマンにお願いしましょう。

    フレットすり合わせの詳細でした。長々読んで頂きありがとうございました♪


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