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  • 致命的なメーカー不具合を抱えた楽器はどうすれば良いのか? Gibson Explorer ナット交換&フレットすり合わせ メーカー不具合修正
  • 2023/08/27
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  • ギブソン製エクスプローラーのナット交換・フレットすり合わせです。

    90年台後半頃のモデルとの事です。

    ナットが消耗で音詰まり、フレットも音詰まり箇所があります。
    トラスロッドも殆ど余裕が無く限界状態。ロッドの効きも悪いです。

    大きな減りがある訳では無いのですがお客様のご希望として弦高低めにするとフレットのラインにウネリが大きく音が詰まりが酷い状態なのですり合わせを行う事となりました。

    作業をしていて驚いた事として、フレットが全体的に触ると動く状態です。このレベルは今までの作業人生で初めての酷さです。
    ローフレット側が特に酷く、ハイポジションはいくつかにガタが見られます。
    70年代ギブソン等はフレット溝がガバガバで、そこに接着剤でフレットを置いて固めているモデルが存在しますがこちらも恐らくその様なフレットを接着している方式?に思います。手で動くレベルなのでフレットは溝に絶対に噛んではおらず、接着も機能していません。
    もしくは下手なフレット交換がされているのか?のどちらかでしょう。

    接着が外れているのか、フレットを削ると目で見て分かる位に縦にも左右にもガタガタと動く為、フレットの隙間から接着剤を流し込みフレットを接着の上で直しました。
    お客様からのお話だと、過去に他店でハイポジションのフレット浮き箇所を接着で直した事があるそうです。

    こうした状態は接着したとはいえ明らかに不安な状態なので、本来ならフレット交換(フレットを抜いて溝を直す等)をした方が良い状態でしょう。
    この状態では大事な用事にこれ1本だけを持っていく事はとても心配です。
    ただしフレット交換+フレット溝の直しは通常の作業よりも高額になる事、納期も長くなります。
    今回は使用する日時に間に合いませんのでこの位のリペアしか行えません。

    特に今回はお客様とモメたりした訳じゃありませんので読んでいる人へ勘違いしてほしくありませんが、こうしたモデルが実際に存在するので今回はそうした状態の考え方や私の対応を知ってもらえたらと思います。
    まともなお客様だったら心配ありませんが、いずれこうした状態を元にクレーマーが出てくる可能性があるのでこの機会に誰でも見れる形で情報を公開します。
    持ち主には気になる記事内容かもしれませんが、決して嫌味や批判をしている訳ではない事をご理解下さい。

    まずですが、現実問題としてギブソン製を購入する時点で責任はお客様の方にあります。
    そもそも酷い状態で製造されて販売されている事が調べて分かるメーカーだからです。

    現在の新品でカスタムショップでもブリッジ位置を間違っててオクターブが合わない(楽器になっていない、楽器として使えない状態)、トラスロッド位置がおかしくトラスロッド調整のレンチが入れきれない(トラスロッドの調整が行えない)、指板の接着精度が悪いのか多くは指板とグリップとの間で隙間が目立つ(ローフレットから剝がれている物もある、この状態にアイロン修正なんて二次災害しか考えられない)、プレックを使っている(ギブソンファクトリーツアー動画で公表)のに新品で音詰まり、トラスロッドのT字が内部で引っ掛かっていないのかトラスロッドが全然効かず棒が出てくる(回してもロッドの効きが悪い・順反りを直せない)、ネックが取れる事がある(ジョイント接着部がガバガバ状態なのに接着されている、指板でしかネックを接着できてない等)、等の問題は私の方で実際に目で見て確認した事があるトラブルです。

    こうした不具合は調べれば出てくる情報ですし、自分で触った物は私のブログ記事等でも紹介しています。
    「知らなかった」は今の情報時代では通じません。調べれば情報が出てくる時代なのでもはや「勉強しない人の自己責任」の時代です。
    例えば私のブログ記事やYoutubeがそうでしょう。
    ブログは修理カルテなので、様々な情報やメーカー特有の不具合を詳しく知る事が可能となっています。

    当然ながら私が触って確認した事に対し信用しない事を選択するのは勝手ですが、こうした受付後の新たに見つけた不具合に対し修理を受けたからといって料金内で全てこちらで負担し無償サービスで直す事は一切しません。
    こうした製品を作っているメーカーですから、それを買って使うという事は「何か不具合が起これば自分で許容する」という事です。
    そうしたメーカー製品を買って使うのなら問題が起こればお客様の方でお金を払って対応して頂く事と考えます。

    そうした意味で作業をしていて気が付いて直した今回のパターンはまだ良いのですが、作業中は特に問題が無く後日に新たにトラブルが出てくる事も全然考えられます。
    不具合が出たその時に責任はこの楽器を触った事があるリペアマンの私にあるのか?いいえ、違います。
    本当の問題は製造しているメーカーが難点を改善しようとしない所になりますが、不具合が起こるかもしれない可能性がある製品を購入して使っている事に問題があります。
    状態が心配ならお金を掛けて全てバラして組み直すしか方法はありません。
    それが無理なら問題が起きた際に直す金銭的余裕と気持ちの余裕がある人でないとダメです。

    他にも似た様な物でリッケンバッカーのトラスロッドが折れ易い様に製造されている事(細いトラスロッドを使用している、トラスロッド溝の精度が悪い等)や、古いミュージックマンはトラスロッドのT字部分が折れ易くトラスロッドが折れて効かなくなる可能性がある、フェンダー製品の多くはトラスロッドの効く範囲が狭いので買った時の状態でロッドに余裕が無いと順反りが致命的になる事があり新品でもすぐにトラスロッドが限界状態になる場合がある、グレッチは精度が悪く接着している箇所でネックが取れる場合がある、オベーションは接着部分に難点が多くトップ剥がれが起こったりネックが外れたりする等と、メーカー製造不具合の様な事例は沢山あります。
    詳しくはホームページの注意事項にも記載しておりますがメーカー製造の不具合は私が触ってトラブルが起きたとしても保証はしておりません。
    当然ながらクレームも受付けませんし、こちらが触ったタイミングで壊れたとしても修理費用をこちらで負担して直す事も一切しません。

    他のジャンルでも高級車等がそうですが私は自動車整備士学校を卒業して二級整備士免許を持っており、学校の先生も「元○○ディーラー」の人達なのでいろんなメーカーの話を聞いています。
    フェラーリ等は窓ガラスが新車でも落ちる事やエンジンの部品が付いていない等で新車で既に壊れている場合がある事、ランボルギーニはガソリン供給ラインに不具合があり車体が燃える事がある、高級車メーカーのパーツ連結が少ないボルトでまとめて止めている構造の物が多くオイル漏れし易い等(ヤナセのディーラー整備士情報)。
    世間はビックモーターで話題なので分かり易いかもしれませんが、高級車ディーラーもノルマが凄く新入社員で高額なスーツを買わされる・営業車を新車で新入社員でいきなり買わされる等、ブラックな部分が多いです。

    現場は非常に疲弊している為、まともな物を売れる余裕がありません。
    そのメーカー製品は大丈夫なのか?も大事ですが「どのお店から買うか?」も非常に重要です。
    どの分野も現場は似た様な図式です。楽器業界もビッグモーターの様な環境で、まともな対応ができるスタッフは少ないと思います。

    上記が分かり易いと思い記事にしましたが、皆様が思っている「有名なブランド」「高額な物」が逆に酷い事があります。
    それらを知らずに使っている人が問題が起こるとクレームを入れる先は「販売側」「実際に修理する現場の人達」へ向けられます。
    本来であれば使用者が販売側でなく製造しているメーカーに直接クレームを言うべきなのですが、消費者側が無知である事がその様な行動となっています。
    残念な事にそうした人が大半なのがこの世の中です。
    日本の環境は消費者側に無知のお客様と、お客様は神様志向(だけど対応は現場の人達へ)の会社が多い事が問題です。

    現場に居る自分の身を自己防衛する意味でもこうした記事を書きましたが、メーカーの製造不具合はメーカーや扱っている日本代理店に自分で直接クレームを入れて下さい。

    状態が将来どうなるか?は神様じゃないので分かりません。
    こうしたメーカー製品を購入するなら不具合を想定して最初から高額な修理をお願いするか、問題が起きたらその都度修理をするか?の二択です。
    決して携わる人達を責めないで下さい。問題はそれを選び購入した自分の行動から始まっています。無知による自己責任です。

    多くのお客様は無知です。
    しかし良い無知と悪い無知があり、無知だから知ろうとする事や勉強しようと行動している人はまともな人です。
    こうした人はトラブルになる事はあまり無い事と思います。
    問題は「無知なのに勉強しない人、昔の知識で止まっている人」です。

    多くの場合、こうした勉強しない無知の人は普段の使い方も雑なので問題が起き易い状態に自分でもっていっています。
    ろくにメンテもしない場合も多く、どこかしらのパーツは壊れ易くなっている事もあるでしょう。
    そして触る必要があったタイミングで壊れたりした際に「壊した!弁償しろ!触らせる前までは問題無かった!」となる事が多いのが特徴です。
    責任転嫁、ただのクレーマーです。

    クレームは自然に起こる事ではありません。
    多くの場合はテイカー気質な人が隙があれば相手から奪おうとする気持ちでやってくるからです。
    タダでやってもらおうと難癖を探しつつ相手を見ている事や、もっと酷い場合は元々あった故障個所を指摘し無料修理や金銭まで請求してくる悪質クレーマーも世の中には存在します。

    ハッキリ言いますが人は差別した方が良いです。
    言葉の意味としてちゃんと理解してほしいですが世の中にはまともな人ばかりではありません。
    まともでない人達と出会うせいで精神を擦り減らし、作業費に見合わない苦痛を受けてしまいます。
    これは良い意味の差別で、理不尽客の言う事には応じないと明記しそのスタンスを示す事が大事です。
    それらは殆どのお店ができておらず、現場の人達の泣き寝入りやおかしいと思いつつも受け入れて対応しているからこの労働環境は酷くなる一方です。

    残念なのはお客様は神様精神のお店が世の中に多く、こうした声が大きいクレーマーの声が通ってしまう事から別のお店でも同じ様なクレームを付けて利益を得ようとする人が増えて別のお店に被害が及ぶ結果となります。
    私はそうしたクレーマーを断固拒否します。
    自分で買った商品の責任は自分で買って選んだ責任を、勉強して正しい物を選ぶ知識勉強を。
    アメリカ等では自分の車は自分でメンテナンスする様な文化があり、自分で扱う物は自分の責任で所持する意識が高いです。

    勉強して本当に良い物を選ぶ知識を付けて下さい。
    不具合を避ける意味でも日頃の買い物でもメーカーの知名度や人気に捕らわれず良い物だけを買って下さい。
    そうすれば故障も無く快適に使用できる日々が続くでしょう。
    多くの方が有名メーカー・高額な物を選んで購入しているから低価格帯で良い物を販売している優良メーカーを潰していく結果になります。
    他人事の様に感じていると思いますがこの環境はあなた達が作っていると言っても間違いではありません。
    有名メーカーとか高額だから良いと決めつけてないで、本当に良い物だけを選んで買っていたらメーカーも改善しないと売れないと分かり精度も上がった商品作りに努力しまともな物が市場に並ぶ事が当たり前になります。

    それができないなら、こうした記事を読んでも意識が変わらないなら不具合が起きても受け入れてお金を払って直してもらいましょう。
    世の中を作っているのは自分自身、環境を勉強して改善していきましょう。

    ありがとうございました♪


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